TRD Rally Cup by JBL 2021 rd.2 -ネコステ山岳ラリー-


 4月17日、群馬県神流町・南牧村・上野村を舞台として、ネコステ山岳ラリー2021が行われた。JAF東日本ラリー選手権 第3戦、JMRC関東ラリーカップ群馬ラリーシリーズ 第1戦として開催される本戦にTRD Rally Cup by JBL 2021 Rd.2を編入しての開催となる。群馬県甘楽郡にある『南牧村活性化センター』をHQとし、総走行距離 :150.83 km/スペシャルステージ総距離(8本):42.99 kmのオールターマックラリーで争われる。

 土曜日のみのワンデイで開催される本戦は、終盤SSは追加ランプを必要とするいわゆるナイトラリーとなるのが特徴。また、地元主催クラブの遊び心で設定されるジャンプポイントなど、エントラントも楽しめるラリーであることが特筆される。昨年の大雨で例年使用している林道が使えない事情がありジャンプポイントは設定されなかったが、その代わりにフルターンポイントが設定され、地元選手にとっても難易度が高いハードなラリーが設定されることとなった。


 このラリーで使用するのは8.68kmと5.65kmの2つの林道となり、それらを3回リピートし計6本のSSで争われる。SS1/3/5のYokuraToge SSは全体的に登りで、前半道幅が狭くなる。序盤は中低速主体のコースでJC後はほぼ上りで中速コースだが、フルターンポイントを越えた後はフラットで広めのスーパー林道となる。しかしコース横に伐採された材木が壁のように積み上げられ、ラインの自由度を制限する。SS2/4/6のShionosawaToge SSは狭い道幅でほぼ全域下りというハードなステージ。どちらのステージも路面全体を苔や落ち葉が覆いスリッパリーな箇所や、アスファルトが剥がれ大きな段差になっているポイントが多く存在し神経をすり減らされるステージとなる。また、今回はサービスなしのラリー進行となるため、難コンディションをクルーのみでフィニッシュしなければならない難しい状況となる。

 



 ラリー当日は朝から雨が降り、スタート後は小雨程度にはなったもののウェットコンディション。さらにコース内ではところどころ深い霧が発生し、さらに難易度が増す難しいラリーとなることが予想されたが、終わってみればリタイヤ9台というハードなラリーとなった。

TRD Rally Cup by JBL 2021 rd.2 -ネコステ山岳ラリー- エントリーリスト
当日の群馬県神流町付近の天気

CUP-2



 86/BRZ限定のCUP-2クラスには前戦に引き続き岩田 晃知・増田 好洋組の86がエントリー。残念ながら今回も単独エントリーとなってしまったが、マシンのセッティングとドライビングのトライ&エラーに主眼をおいての参戦となる。

「今回も同クラスで競う相手が居ないのは寂しいですね。他クラスの86を仮想ターゲットにしてラリーを進めたいと思いますが、まだセッティングも走り方も勉強中なので、難易度の高そうなこのコースでどれだけ走れるか楽しみです。前回の初戦ではパンクがあったとはいえ91ヴィッツの桒村さんにスピードで負けてしまってました。今回のコースは道幅が狭くてツイスティな上に、雨や苔の影響で全開区間が限られるのでFRの86にとっては難しいコースになりそうですが、勝ちにいきたいですね。」と岩田。

 そんなコンディションの中だが、岩田は終始安定したタイムでステージをクリアしていく。特に下りステージではアクセルを開けられず我慢の走りを強いられることとなるが、順調にタイムを上げていきフィニッシュを迎えた。

 走り終えた岩田は「厳しいコンディションではありましたが、得るものは多かったです。やれることは全部やりきれた感はありますが、うまくいったところ・ダメだったところがあったので、それを次の課題として活かしていければいいと思います。夜や濃霧といった、今まで経験したことのない状況でガクンとペースが落ちてしまいましたが、それらを経験できたことが大きかったですね。」と振り返った。

 なお、2019年TRDラリーカップに参戦していたカルロス中村・藪本 啓介組も本戦にエントリー。東日本選手権 群馬ラリーシリーズへのエントリーだったが、TRDラリーカップへの参戦を視野に規定サスペンションを装着してのラリーとなった。中村は「去年、TRDラリーカップのサスペンションを装着して別のラリーに数戦参戦したんですけど、すごくフィーリングが良かったんです。安心感のある足で踏んでいけるので、実際タイムも向上しましたよ。ただ今回は難しいコンディションの中で攻めきれませんでした。今年は難しいかもしれませんが、来年はTRDラリーカップに復帰して競いたいですね!」と熱く語った。

CUP-1



 ヴィッツ限定のCUP-1クラスには過去最多の5台がエントリー。前戦で優勝を飾り順調なスタートを切った桒村 浩之は再びミキスケとともに参戦。昨年もTRDラリーカップに参戦した塩田 卓史は小野 圭一をコ・ドライバーに迎えての参戦。小野は先日のJAF近畿ジムカーナ選手権PN1クラスにロードスターで参戦し、デビュー戦ながら鮮烈な優勝を飾った25歳。コ・ドライバーとしての経験こそ少ないが、ジムカーナやダートラなど様々なモータースポーツに挑む注目株の選手だ。そして注目が、3度目のTRDラリーカップへの挑戦となるピエール 北川・漆戸 あゆみ組。昨年の初戦となるMCA CAPRICCIOでは強敵桒村に競り勝ち、見事勝利を飾っている。桒村としても昨年の雪辱を果たしたいところだろう。「去年の福岡ぶりの参戦ですが、あれ以来練習もできてないので、ラリースピードでの走り方を思い出すのが先決ですね。個人的にはストレート区間が長い踏みっぱなしコースが好きなので、今回のような狭くてツイスティな道は苦戦しそうです。桒村さんにどれだけついていけるか…頑張ります!」と北川。ラリーやダートラでの活躍で知られる千明自動車から参戦するのは山下 秀・HARU組。モータースポーツ自体初めてとなる山下と、経験者のHARUのコンビとなる。「初めてのラリー参戦で緊張するんですが、雨も霧も凄くて、ちょっと最初からハードすぎです…」と緊張気味の山下。昨年までNetzCup Vitzレースで使用されていた車両をラリーカップ仕様に合わせての参戦となった。なお、若手選手を起用し初年度からTRDラリーカップに参戦しているMATEX-AQTEC RALLY-TEAMからはチーム監督の辻井 利宏が、本年全日本ラリー選手権にも参戦する東 駿吾をコ・ドライバーに迎えて参戦予定だったが、諸般の事情により参戦を見合わせた。

 濡れてダスティな下り路面…と、2戦連続で桒村にとって喜ばしい路面状況となったが、SS1ではその きれた走りで、東日本選手権勢に食い込む走りを見せる。お互いを好敵手と認めるピエール北川も、ブランクを感じさせない走りで桒村に食らいつく。しかし、下りのSS2で桒村が本領発揮。岩田86のみならず、東日本ラリー選手権2WD勢の中でもトップ10に入るタイムを記録した。この時点で後続に30秒以上の差をつけることに成功した桒村は、必要以上にプッシュしない走りに切り替える。追う北川はSSごとにタイムを更新していくが、ナイトセクションとなったSS5で無念のリタイヤとなってしまった。
塩田も必死に食らいついていくが、ペースを掴みきれずにラリーを終えた。「去年の丹後半島ラリー以来の参戦ですが、イマイチ乗り切れなかったですね…晴れを願って来たんですが、生憎の天気でタイヤとのマッチングがイマイチでした。」
初参戦となった山下は「霧が凄くて大変なラリーでした…レキの段階でペースノートがうまく作れてなかったんですが、HARUさんにノートを修正してもらったおかげで走りきれた気がします(笑)またラリーカップに挑戦したいので、練習して再チャレンジします!」と語った。

 終始ハイペースで走りきった桒村は、クラス内後続車に3分以上、86の岩田にも20秒近い差をつけて優勝を飾った。「色々あってレキが一回しか走れなかったんですが、その分集中してノートを作ったので、難しいコースでもハイペースで走り切ることができました。やはり雨のステージが好きですね」と笑顔で振り返った。
 



 2021年シリーズも、世界最大級オーディオメーカーで、家庭用オーディオ、ホームシアター、車載用などの民生機器から、世界中の映画館、スタジアム、レコーディングスタジオなどを対象とした業務用機器をラインナップするJBL(ハーマンインターナショナル株式会社、東京都台東区)からパートナーシップを受け、優勝クルーおよびU-25 AwardのクルーにはJBL製スピーカーが賞品として贈呈された。


 2〜3ヶ月間隔が開いてしまうが、次戦は7月10〜11日に三重県いなべ市と滋賀県東近江市を舞台として開催される「いなべ東近江ラリー 2021」。2019年にもTRDラリーカップを開催した地でもあり、チャレンジングなラリーとなることが予想される。


ネコステ山岳ラリー 正式結果

TRD Rally Cup by JBL 2021 シリーズポイントランキング

※イベントレポートという性質上、文中で敬称を略して表現している個所があります。





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