TRD Rally Cup by JBL 2021 rd.3 -いなべ東近江ラリー2021-


 7月10~11日、三重県いなべ市と滋賀県東近江市を舞台として、いなべ東近江ラリー2021が行われた。2021年JAF中部近畿ラリー選手権 第4戦、2021年JMRC中部チャレンジシリーズ 第2戦、2021年JMRC中部チャレンジシリーズ 第2戦として開催されたこのラリーに、TRD RALLY CUP by JBL 2021 第3戦をクラス編入しての開催。本戦の行程は総走行距離153.05km/SS距離24.87kmのオールターマックコース。県境に位置する林道を使用し、いなべ市側と東近江市側からアプローチするSSを設定。それらの林道を午前と午後に分けて各2本。それに加えメイン会場となるいなべ市中央公民館裏のコースを使用してのギャラリーステージを3本。合計7本のSSで競われる。
  2019年にもTRD Rally Cup by JBLとして開催されたステージだが、ハードなコースでのラリーとなるため、ドライビングテクニックのみならず体力や集中力が求められる一戦となる。



 セクション1で2回走行する石榑峠西SSは石槫トンネルを抜けて東近江側からのアタックとなる5.59kmのSS。下り区間を含みつつも、ゆるい傾斜の上り基調でリズミカルなコーナーが続く。セクション2で使用する、いなべ市側からアタックする石榑峠東SSは約5kmほどのコース。前半は広い道幅の上りが続くが、徐々に不規則なコーナーが連続するトリッキーなコースへと変化していく。傾斜もきつくなり道幅も目まぐるしく増減を繰り返す。鋭角コーナーやクランク型の路面、路面中央の大きな舗装剥がれなど、非常に難易度が高く選手の体力を奪うハードなコースといえる。
  そして、コロナ禍で多くのラリーが無観客開催となる中、滋賀県・三重県在住の方限定でギャラリー観戦が可能となった大安SS。2019年開催時とは逆方向の走行コースでの設定となる。1.21kmと短めの距離だが、ほぼすべてのコーナーが直角コーナーとなりそれらを直線で結ぶ。一見簡単なステージに見えるが、狭い道幅ということもあり一筋縄ではいかないものとなった。



 事前の天気予報では雨の週末になることが予想され多くの選手が雨を想定してのラリーとなったが、当日は朝から気温が上昇し、猛烈な湿気と相まってクルーの体力を奪うコンディションになっていった。

TRD Rally Cup by JBL 2021 rd.3 -いなべ東近江ラリー2021- エントリーリスト
当日のいなべ市付近の天気

CUP-2



 2021年シーズンが始まってから1台のみのエントリーが続いていた86/BRZ限定のCUP-2クラスには、連戦の岩田・増田組に加え上林・森組が参戦。上林・森組は2019年いなべ東近江ラリーのTRD Rally Cup by JBLにも参戦した実績があり、勢いのある走りが印象に残るクルーだ。久々のライバル参戦に岩田の士気も上がることとなった。

 東近江側からのアタックとなるSS1。好調な滑り出しを見せたのはやはり岩田組だった。地区戦勢に食い込む渾身の走りで、上林組に20秒近い差をつけてのフィニッシュとなる。続くギャラリーステージでは、さらに順位を上げて全体12位のリザルトを記録した岩田組。
「今年は雨のラリーが多く、今回が始めてのドライターマック路面となりましたが、気持ちよく踏めていますね。実は今回から新たなトライとして、ペースノート読みをもっと早くしてもらうようにしてます。実戦での練習となってしまいますが、さらに上のステージに上がるためのチャレンジですね。今の所上手く行ってる気がします」と岩田。意識して先のインフォメーションを伝える増田のペースノートリーディングのタイミングが合ったのか、順調にペースを上げていく岩田。
午後の難関セクションにおいてもスピードを緩めることなく、前戦同様リピートで走行するSSはすべてタイムアップしてのフィニッシュとなった。

 今回は岩田の好走に隠れてしまったが、SSごとに感覚を取り戻していった上林・森組。「約2年ぶりのラリー参戦となり、感覚を思い出すのに精一杯でした。とはいえ、この結果は悔しいですね…参戦予定の丹後でリベンジしたいです」と悔しさを滲ませた。

 勝負をした上で勝利を飾った岩田。「やはり参戦台数が増えると勝負に張りが出ていいですね。でも、本音を言うともっともっと多くのライバルと競いたいです」
 今後、岩田を止めるライバルの出現に期待したい。

CUP-1




 ヴィッツ限定となるCUP-1クラスは、シリーズ最多となる7台が出走。目下連勝中の桒村浩之・ミキスケ組をはじめ、チーム員の中根達也を新たにコ・ドライバーに迎えての参戦となる塩田卓史。前戦ネコステラリーでラリーデビューを果たした山下秀・HARU組。ネコステラリーでは無念のクラッシュを喫したものの、新たに車両を用意して参戦することとなったピエール北川・漆戸あゆみ組。前戦で参加を見合わせたMATEX-AQTEC RALLY-TEAMは、予定通りチーム監督の辻井 利宏が、本年全日本ラリー選手権にも参戦する東 駿吾をコ・ドライバーに迎えて参戦。昨年から本シリーズに参戦する小出辰彦・松本芳幸組も本年初エントリー。また、TGRラリーチャレンジに精力的に参戦する静岡県裾野市のチーム「カーテックフジ」がTRD Rally Cup by JBLに初参戦。現在ラリーチャレンジには86で参戦している小長谷啓太・下出智紀組だが、両者が以前使用していたラリーチャレンジ仕様のヴィッツをTRD Rally Cup by JBL規定に合わせた仕様に変更しての参戦となった。

 本戦においても桒村・ミキスケ組の独走になるかと思われたが、ここ数戦で納得の行くラリーができていなかったという塩田・中根組が奮闘。SS1を終えた時点で桒村との差を1.8秒に抑えての2位フィニッシュとなった。続くSS2で再び差をつけられてしまうことになるが、リピートとなるSS3石榑峠西で渾身のクラストップタイムのアタックを見せ総合順位においても逆転を果たす。その後のSS4では再び逆転されてしまうが、午後に向けて手応えのある折返しとなった。

「今日は調子がいいですね。大安SSでリズムに乗り切れてない感じがあるんですが、石榑峠西SSで桒村さんに勝てたのは大きな自信になりました。実は明日が結婚記念日なんです。いつもモータースポーツで週末を空けることが多いので、せめて勝利を土産に帰りたいですね。」と塩田。
  3位につける小出・松本組「SS1で、TC前のスタッフさんとの行き違いがあってバタバタのスタートになってしまった。そんなことがあってトラクションコントロールも切れずにスタートすることになってしまったのが悔やまれますね。とはいえフィーリングは悪くないです。熱くなりすぎず、淡々と攻めたいですね」と語った。
 5月に開催されたつるぎ山アルペンラリー 2021にも参戦した辻井は午前セクションをクラス4位で終えた。「パワステが効かなくなってしまい、重いステアリングと格闘しながらの走行になってしまいました。午前はなんとか攻めきれたけど、ちょっと辛いですね…午後も頑張れるように、東君には全日本ラリー選手権で見せるような本気のコドラで僕をその気にさせて欲しいですね。」とコ・ドライバーの東にも発破をかけた。
 辻井と3.5秒差で折り返すこととなった小長谷は「ヴィッツに載るのは2〜3年ぶりです。以前ラリーチャレンジで走らせていた時とは全然違うセッティングになっているので、まずは車両に慣れるのが第一ですね。でも午前中走らせた感じは悪くないと思いますので、午後もこの調子で頑張ります!」と笑顔で答えた。

セクション1で下位に沈んだピエール北川「新たに車を用意したんですが、どうにもエンジンの調子が悪いんです…3000回転あたりから全然フケない。エンジンテスターで調べたら給排気系のセンサーに問題がありそうだったので、昼のサービスでなにか対策できれば…午後はさらにエンジンパワーが重要なステージなので今のままじゃ全然ダメですね!」と憤る。

  2位争いに注目が集まることとなったセクション2は難易度の高い石榑峠東SSからのスタート。ここで好走を見せたのが小出・松本組だった。続く塩田・中根組に10秒近く差をつけてのフィニッシュとなる。そして続くSS6大安ステージ。昼のサービスで「JMRC中部ラリー部会・おもてなしサービス」の協力のもとエンジン不調の原因を突き止め、トラブル対処まで行ったピエール・漆戸組が復活をアピールする二番手タイムを奪取。続く最終SSにおいても桒村にコンマ4秒差に迫る絶好調の走りを見せたが、順位を塗り替えるには及ばずにラリーを終えた。
 大安SSでタイムを出せない塩田はSS6において焦りからフライングスタート。痛恨の10秒ペナルティとなる。ペナルティでのタイム差を考慮すると逆転の可能性も出てきた小出・松本組は最終SSにおいて塩田に6秒差の自身ベストアタックを見せたが、結果的に僅か1.8秒差で3位フィニッシュとなった。TRD Rally Cup by JBLに初参戦となった小長谷・下出組も、セッティングが詰まっていない久々の車両ながら、見事4位に入る走りを見せた。

 なお、ラリーフィニッシュ後の再車検において桒村・ミキスケ組の車両にレギュレーション違反が発覚し、失格の処分が下された。これにより塩田・中根組が繰り上がり、念願の初優勝となった。

 勝利に驚く塩田は「後味の悪い終わり方になってしまいましたが、最後までプッシュし続けて2位でフィニッシュした結果ゆえのことなので胸を張りたいと思います。毎戦コ・ドライバーを変えて参戦しましたが、中根君との相性もよく、気持ちよく攻めることができました!」


 



 2021年シリーズも、世界最大級オーディオメーカーで、家庭用オーディオ、ホームシアター、車載用などの民生機器から、世界中の映画館、スタジアム、レコーディングスタジオなどを対象とした業務用機器をラインナップするJBL(ハーマンインターナショナル株式会社、東京都台東区)からパートナーシップを受け、優勝クルーおよびU-25 AwardのクルーにはJBL製スピーカーが賞品として贈呈された。


 次戦は7月31日に高知県嶺北エリアを舞台として開催される「四国のてっぺんラリー2021 in 嶺北」。例年ハードなステージとなるてっぺんラリーでの決戦に注目したい。


いなべ東近江ラリー 2021 正式結果

TRD Rally Cup by JBL 2021 シリーズポイントランキング(準備中)

※イベントレポートという性質上、文中で敬称を略して表現している個所があります。





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