10月22日、長野県佐久市を舞台として第41回 八子ヶ峰ラリー2022が行われた。JAF東日本ラリー選手権 第6戦、2022年 JMRC関東ラリーカップ 第10戦、長野県ラリーシリーズ 第5戦として開催された本戦にTRD Rally Cup by JBL 2020 Rd.5を編入しての開催となる。10月1日~2日に開催された第37回シロキヤラリー in 豊根・豊田[INABU]から3週間という短いスパンでの開催となる。
白樺湖近くの八子ヶ峰ホテルをHQを設定する本戦のコース全長は総走行距離約200km/SS距離約約40kmの行程。当初は2DAYでの開催を予定していたが、新型コロナ感染症拡大防止の観点から1DAYでのコンパクトなラリーへと変更となった。
今回設定されたSSコースは一本の林道を二分割し、それを下りと上りで使用。4本のSSをループし計10つのSSで争われることとなる。セクション1は下りのショートSS&ロングSS。ショートは1.7kmと短めだが、ロングは6kmとハードな設定となった。セクション2は4.5kmと3.7kmの上りSS。セクション1の逆走となる。コースはSSとして分割されてはいるが、一本の林道を続けて使用するためずっとSSを走り続けているような疲労感が選手達を襲う。さらに後半SSは日も落ちナイトラリーの様相を呈することとなる。ナイトラリーに不慣れな選手にとっては一筋縄ではいかない難しいラリーとなることが予想された。
86/BRZ限定のCUP-2クラスには、初戦ACK スプリングラリー 2022以来の参戦となるHARU・山下 秀組のBRZが参戦。「半年前のACKスプリングラリーでは目標が完走第一だったので守りの気持ちが強かったですが、今は速く走りたい攻めの気持ちでいっぱいです。あれからライン取り、ステアリングの回し方等とても基礎的なところからしっかり練習してきました。ただ実際のラリースピードになったらどうなるか心配ですけど…練習が速さに繋がってると信じてアタックします!」とドライバーのHARU。
下り主体となる難しいセクション1。CUP-2は一台のみのエントリーとなったため、タイムの比較対象がなく自身の走りが正しいのか、今どのポジションにいるのかが分からず自分との戦いになっていく。
その状況でもHARU・山下組はしっかり落ち着いた走りで走行を重ねていく。序盤から地区戦86/BRZ勢に食い込む走りを見せ、陽が落ちていくセクション2に入ってもその集中力を切らすことなく、無事に10本のSSを走りきった。
ラリー終えたHARUは「良いペースで完走できてよかったです!なにより基礎練習がしっかり活きているのを実感できましたね。セクション1もエキサイティングで楽しかったですが、絶対アクセルを緩めないと決めていた上りのSS5では前半直線と緩いコーナーがメインで度胸を試されました。頑張って踏み抜けた自分を褒めてあげたいです。暗くなってきた最後の4本は突然コース上に現れる鹿に何度も驚かされましたが、なんとか避けてゴールできました。これまでは毎回最初のSSでタイム的に遅れを取っていたのですが、今回は最初から良いペースで走れたので弱点をひとつ克服できました。一つ残念なのが『昼間より夜の方が速いタイムを残したい』という自分の裏目標が達成できなかったので少し悔しいです(笑)」と語った。
ヴィッツ限定のCUP-1クラスには2台がエントリー。シロキヤラリーに引き続きの参戦となる塩田 卓史・中根 達也組と小出 辰彦・松本 芳幸組。シリーズポイントトップの塩田・中根組だが、塩田はシリーズ有効3戦のポイントをすでに獲得済となるため、シリーズチャンピオンには本戦での勝利が欲しいところだろう。また、SSが10本あるためSSポイントのウェイトが大きくなることも注目ポイントだろう。
ポイントリーダーの塩田は「チャンピオンを狙うためにも、今回はポイントが重要だと思ってます。たとえ2位だったとしても、SSポイントを4ポイント獲れればいいというスタンスですね。アイテナリーから考えて、後半は経験の少ないナイトラリーになるので、できるだけ前半でポイントを稼げれば…」と抱負を語った。
逆転勝利を目指す小出は「ドライバーのチャンピオンは正直厳しいと思ってるんですが精一杯頑張ります。SSポイント次第でしょうから、一本一本を大切に。。。」とスタート前に語った。
下りのセクション1。小出が好スタートを切ることに成功し4本すべてのSSで塩田を上回る。追う立場となった塩田もセクション2で奮闘。SS5・SS6で勝利し念願のSSポイントを獲得する。このまま勢いに乗って逆転したい塩田であったが、暗くなったSS7以降はナイトラリーの参戦経験のある小出が勢いを取り戻し、再び形勢逆転。残りの4本も小出がリードし、見事勝利を飾った。
「上りの後半セクション1で辛くなるのは予想してましたので、できるだけリードを広げようと前半頑張って走りました。暗くなってからは、昔ナイトラリーに出てた頃を思い出しながら走りました。意外とタイムが出てたので、あの頃の経験が活かせたようですね。結果、シリーズチャンピオンも獲得できて非常に嬉しいです!」と小出。一方、悔しい結果となった塩田は「スタートダッシュでポイントを獲りにいく作戦だったんですが、ぶっつけ本番のニュータイヤで前半抑え過ぎちゃいましたね。ナイトはやはり小出さんに敵わなかったです…シリーズ通して参戦して良い経験をさせてもらいました。今後に繋げて行きたいです。」と前向きに語った。
2022年シリーズも、世界最大級オーディオメーカーで、家庭用オーディオ、ホームシアター、車載用などの民生機器から、世界中の映画館、スタジアム、レコーディングスタジオなどを対象とした業務用機器をラインナップするJBL(ハーマンインターナショナル株式会社、東京都台東区)からパートナーシップを受け、優勝クルーにはJBL製Gaming用ヘッドホン“Quantum 800”が賞品として贈呈された。
本戦の結果により、CUP-1はトータルポイントが33となった小出・松本組がシリーズチャンピオンを獲得。3戦分が有効ラウンドとなるため、塩田・中根組は31ポイントで惜しくもチャンピオンを逃す結果となった。CUP-2はHARU・山下組がシリーズチャンピオンを獲得することとなった。
第41回 八子ヶ峰ラリー2022 正式結果
TRD Rally Cup by JBL 2022 シリーズポイントランキング
※イベントレポートという性質上、文中では敬称を略して表現しております。