TRD Rally Cup by JBL 2022 rd.1 -2022 ACK SPRING ラリー-


 5月14日(土)~5月15日(日)、福岡県豊前市と築上町を舞台として、2022 ACK SPRING ラリーが行われた。2022年JAF九州ラリー選手権 第3戦、JMRC九州ラリーチャンピオンシリーズ 第3戦にTRD Rally Cup by JBL 2022 Rd.1を編入しての開催となった本戦は、豊前市の岩屋活性化センター内『岩屋公民館』をHQとし、二日間かけて総走行距離 :171.47 km/スペシャルステージ総距離(5本):49.44 kmを走行するオールターマックラリーで争われる。九州南部地方は週の中頃から大雨に見舞われ今回使用するエリアおよび林道の状況も心配されたが、前日には雨もあがり路面コンディションは回復していった。

  2DAY開催となるこのラリーでは、LEG1とLEG2それぞれで一本ずつの林道を使用しての競技となる。
LEG1で使用する豊築1 SSは8.7kmのステージ。レッキの段階では濡れた路面が多く残る難しいシチュエーション。全体的に落ち葉や泥が多く、特に日陰はマシンコントロールが難しいスリッパリーな状態となる。大きく上りと下りを繰り返すコースとなるが、複合コーナーに加えアクセル全開区間も多くリズムを掴むのが難しいステージとなる。道幅も常に変化しライン上にも苔が多く残るため、走行ラインの見定めが難しいステージとなった。

 LEG2の豊築2 SSは10.68kmのロングステージ。路面は完全にドライとなったが、路面に流れ出た泥が堆積しているコーナーもあり、気を抜けないコースとなる。全体的に下り主体のコースとなるため、タイヤやブレーキへの負担が懸念される。また、道幅が急激に狭くなった先の橋渡りポイントが二箇所存在する。どちらも長い下りを下りきった先、大きな段差を超えてのポイントとなるため、進入角度やスピードを誤ると挙動変化によりコースアウトやマシンへのダメージが心配される。豊築1SSとはリズムが異なるため、二日目は気持ちを切り替える必要がある。
 


 今年で4年目となるTRD Rally Cup by JBL。新型コロナウィルスの影響がまだ残る情勢ながら、昨年は予定されていた全5戦を無事開催した。TRD Rally Cup by JBLから全日本ラリー選手権へステップアップした吉原 將大・佐野 元秀組は、2021年のJN6クラスチャンピオンに輝く快挙を達成。今年は強豪ひしめくJN-5クラスへチャレンジ。厳しい戦いが続いているが、日本最高峰の舞台で日々研鑽を積んでいる。

 そして、かつてTRD Rally Cup by JBLに参戦していた山本 雄紀と小暮 ひかるはTGR WRCチャレンジプログラムのメンバーに抜擢されることとなった。すでに日本を飛び出しTOYOTA GAZOO Racing World Rally Teamの拠点であるフィンランドにおいて世界最高峰のステージであるWRCを目指しトレーニングを開始した。大きなステップアップを見せるTRD Rally Cup by JBL卒業生の今後にも注目したい。

TRD Rally Cup by JBL 2022 rd1 -2022 ACK SPRING ラリー- エントリーリスト
当日の福岡県豊前市・築上町付近の天気(14日)

(15日)

CUP-2 / CUP-1



 86/BRZ限定のCUP-2クラスにはHARU・山下 秀組のBRZがエントリー。昨年、山下がドライバー・HARUがコ・ドライバーとしてCUP-1クラスにヴィッツで参戦していた当クルーだが、シートを入れ替えての参戦となった。今年の2月に急遽BRZでの参戦を決めたというHARUだが、L1ラリーや地区戦への参戦経験もあり、ラリードライバー歴は山下よりも長い。昨年のCUP-2チャンピオンの岩田とタッグを組んで地方選手権に挑戦するという山下は、今年コ・ドライバーで挑む一年となる。多くの経験を積みこちらも大きくスキルアップする一年になりそうだ。

 若干緊張の面持ちでラリーを迎えたHARUは「もちろんガンガン踏んでいくつもりですが、完走して自走で帰るのが絶対的条件ですので、無理しないように攻めたいです。とはいえ、出走順は普通BRZの私達のほうが先のはずなんですけど、後ろになっちゃってて…それを強く言えない自分が悔しいので結果で証明しますね!」と笑顔で語った。

 まだ路面が所々濡れてダスティな一本目。必要以上にセーブしてしまったというHARU・山下組は下位タイムに沈む。同じ道を使用する2本目、概ねほとんどの車両がタイムアップを果たすこととなったが、中でもHARU・山下組は26秒という大幅なタイムアップを果たした。
「一本目、後ろの選手に追いつかれそうになって焦りました。タイヤのグリップの範囲内で走ったつもりでしたが、走行後に改めて車載の映像を見たら、全然攻めきれてない。想像以上に踏めてなかった自分を自覚して、2本目はしっかり攻められたと思います。」

 そして迎えたLEG2。HARU・山下組は序盤からペースを上げ、地区戦RH-2クラスの中でも中盤のタイムを記録していく。SS4に至っては8秒近くタイムアップを果たすこととなった。タイヤも限界近くなった最終では若干ペースを落としたが、しっかり攻めきる走りを見せた。
ラリーを終えて「無事帰ってこれたことにまず一安心です。複合コーナーが多くて攻めきれなかった昨日のコースとは違って、今日はリズムを掴みやすいコースでした。雨の後で道は汚れてたけど、道幅を広く使えたのもよかったです。我々の特別コーチのキング山田さんに念願の初優勝を捧げます!」と笑顔で二日間のラリーを締めた。




 ヴィッツ限定のCUP-1クラスには塩田 卓史・中根 達也組がエントリー。TRD Rally Cup by JBLでは常連となった当クルーだが、昨年はいなべで初優勝を飾るなど成長を見せている。

「九州での地区戦ラリー参戦は初めてです。似たような感じのコーナーが続くと思ったら、突然ハイスピードコーナーがあったりしてテンポが掴みづらい難しいステージですね。チームの天野監督からは絶対完走という至上命令を受けているので、壊さずに走りきりたいです。幸いというか、クラス一台なので無理せずに走れるかな」
スタートしたLEG1。競る相手が不在ということでモチベーションの維持に苦心していたが、SS1ではRH-3ヴィッツ勢上位に食らいつく走りを見せ、SS2でもタイムを短縮する堅実な走りを見せた。

 10kmのSSが3本続くLEG2は長い下りでタイヤを酷使するステージとなる。ターマックの長距離ステージでは負荷が高いラリータイヤでのアタックとなるため、タイヤマネジメントに注力しながらのアタックとなっていった。
コーナーのたびに挙動を乱すピーキーな状態となっていったが、SSごとにタイヤを入れ替え空気圧をこまめに調整することで無事フィニッシュした。

「思った以上にラリータイヤの消耗が激しく、セーブしながらの走行となってしまいました。きつい右コーナーが多く、左フロントタイヤの消耗が早かったです。新品セットを持ち込んだんですけど、タイヤローテーションしてなんとか持ちこたえた感じですね…昨日はモチベーションが上がらず攻めきれませんでしたが、今日はタイヤを気にしながらだったのでコース上に残るので精一杯でした。それに今日はHARUさんのペースが早くて、後ろからもプレッシャーがあったので大変でしたね」
コ・ドライバーの中根は「初日は平気だったんですけど、二日目はひどい車酔いをしてしまい塩田さんに迷惑かけてしまいました。去年の8月以来の参戦となったんですが、このラリーに向けてゲームでイメージトレーニングしたり過去の塩田さんの動画を見たりして勘を取り戻すことに専念してました。今年はシリーズを追いかける予定なので、早く調子を上げていきたいですね。」と無事フィニッシュできたことに安堵の表情を浮かべていた。
 



 2022年シリーズも、世界最大級オーディオメーカーで、家庭用オーディオ、ホームシアター、車載用などの民生機器から、世界中の映画館、スタジアム、レコーディングスタジオなどを対象とした業務用機器をラインナップするJBL(ハーマンインターナショナル株式会社、東京都台東区)からパートナーシップを受け、優勝クルーおよびU-25 AwardのクルーにはJBL製Gaming用ヘッドホン“Quantum 800”が賞品として贈呈された。


 次戦は7月30日(土)に高知県で開催される四国のてっぺんラリー2022 in 嶺北。マシンにも選手にもハードな山岳グラベルラリーだが、他にないチャレンジングな路面として人気が高いラリーだ。


2022 ACK SPRING ラリー 正式結果

TRD Rally Cup by JBL 2022 シリーズポイントランキング

※イベントレポートという性質上、文中では敬称を略して表現しております。





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